ウクライナの民族衣装!ヴィシヴァンカの面白い事実10選

皆さん、こんにちは!ウクライナの出身クリスティーナです。

5月15日にウクライナのヴィシヴァンカの日が近づいているため、今日はヴィシヴァンカの面白い10選を紹介します。

事実 1: クロスステッチ技法の普及

Vyshyvanka

実は、クロスステッチ(×型刺繍)の技法は、19世紀になってから普及し始めました。1860年までは、ウクライナでは他の縫い目が主流でした。興味深いことに、クロスステッチはヨーロッパからウクライナの刺繍職人たちに伝わりました。起業家ヘンリー・ブロカルが設立した「トヴァリーシェストヴォ・ブロカル・イ・コ」社のおかげで、あらゆる年齢層の刺繍家に広まったのです。さらには、手頃な商品として人気を博した香り付き石鹸が、クロスステッチの模様をあしらった包装で出回り、当時の人々に大変好評でした。

事実 2: 刺繍職人のためのプロフェッショナルな祝日

Vyshyvanka

ウクライナの刺繍職人たちは、自らの技能を称えるための独自の祝日を持っています。具体的には、12月17日に行われる「ヴァルヴァーラの日」がその起点となり、この日から若い女性たちは集まり、夜会で一緒に刺繍を楽しむようになりました。

事実 3: ヴィシヴァンカは日常着ではなかった

Vyshyvanka

ウクライナ人は、決して日常的にヴィシヴァンカを着用していなかったという事実も興味深いポイントです。現代のような洗剤や洗濯機がなかった時代、一枚のヴィシヴァンカを仕立てるのに何ヶ月もかかったため、日常的に刺繍の入った装いで過ごすのは実に非現実的でした。普段着とされるシャツは「ブデンカ」と呼ばれ、飾り気のないシンプルなものが一般的でした。比較するなら日本の浴衣ですね。

事実 4: 「白地に白」技法のための糸は3年間準備された

Vyshyvanka

ウクライナのポルタヴァ地方で発展した独特の「白地に白」技法。この技法で用いられる刺繍用の糸は、模様作りの開始の3年前から準備が始められるほど、丹念に作られていました。布を織るのは簡単な工程でしたが、最も重要であり時間のかかるのは糸の漂白作業でした。当時は現代のような塩素系漂白剤などの化学薬品は存在せず、ポルタヴァ(ウクライナの地域)の刺繍職人たちは、熱さが極まる河川のほとりに糸を広げ、そこに「水・太陽・空気・大地」という4つの自然の力を取り込むことで、理想的な眩い白さを実現していたのです。

事実 5: 女の子は5歳から刺繍を学んだ

Vyshyvanka

驚くべきことに、ウクライナでは女の子が5歳になるとすでに、針と糸を巧みに扱い、最も簡単な縫い目で服を飾る技術を習得していたといいます。幼少期からの技能習得が、後の伝統技法の継承に大きく寄与したのです。

事実 6: ヴィシヴァンカの日は60か国で祝われる

Vyshyvanka

毎年5月の第3木曜日に「ヴィシヴァンカの日」が祝われます。現在では、ヴィシヴァンカの日はウクライナだけにとどまらず、ウクライナのディアスポラが存在する60か国以上でフラッシュモブや行進といった形で祝われるようになりました。日本でも特に東京でヴィシヴァンカのパレードが開催されているそうです。自分自身が参加したことがないですがニュースを見たことがあります。ちなみに多くのウクライナ人はその日にヴィシヴァンカを着用した状態で出社しています。私は福岡在住ですがヴィシヴァンカの日に民族衣装を着て一回大濠公園で娘と散歩したことがあります。

事実 7: 糸の色はドウで固定されていた

Vyshyvanka

かつては、刺繍用の糸の色を固定するために「ドウ」を使用していました。人工的なアニリン染料が登場する前、刺繍職人たちはハーブ、樹皮、花、果汁などを煮出した自然な染料だけを用い、たとえば、黄色のあらゆる色合いは小麦の藁から抽出されました。さらに、色をより豊かな金色にするために、これらの糸はライ麦のドウに漬け込まれ、焼かれるという独自の製法が用いられ、熱処理と発酵種との組み合わせにより、色合いは永遠に固定されたのです。

事実 8: Vogue誌が注目したウクライナのヴィシヴァンカ

2015年、ウクライナのヴィシヴァンカについてVogue誌が特集記事を掲載しました。当時、ウクライナの刺繍模様は大いに注目を集め、刺繍衣装自体も2016年のトレンドとして評価されました。現在では、著名なデザイナーたちが自らのコレクションにウクライナのモチーフや文様を積極的に取り入れています。

事実 9: 色による着用の違い

Vyshyvanka

昔ヴィシヴァンカは、その色によって着用する対象が分かれていました。黒いヴィシヴァンカは、男性専用のもので、青い刺繍のシャツは、出産を望まなかったり出産が困難な女性、または12歳以下の小さな女の子を育ていた女性の専用のものでした。

事実 10: ヴィシヴァンカは紙幣にも描かれている

Ukrainian-money

ヴィシヴァンカは、ウクライナの20フリブニャ紙幣にもその姿が描かれています。より正確には、ヴィシヴァンカを着たイヴァン・フランコというウクライナの小説家がデザインされています。ちなみに、フランコは知識人の中で初めて、刺繍衣装とクラシックなジャケット、ベスト、トレンチコートの組み合わせを提唱した人物でもあります。

まとめ

以上、ウクライナのヴィシヴァンカに関する面白い10の事実をご紹介しました。刺繍技法の発展や、昔ながらの製法、さらには現代にまで受け継がれる伝統と影響力を見ると、ヴィシヴァンカは単なる服装ではなく、深い歴史と文化が息づく大切な存在であることが分かります。

関連記事

ウクライナ

Posted by kristina