日本の宇宙技術、ウクライナ支援に活用 九州大学iQPSと新たな衛星協力へ

日本、ウクライナへの衛星画像提供に合意

ウクライナ政府は、米国が再び諜報支援を中断した場合に備え、米国への依存から脱却する方針を強めています。

九州大学に拠点を置く日本の宇宙企業「iQPS(宇宙パイオニア研究所)」は、ウクライナ国防省傘下の諜報機関(通称 GUR)に対し、合成開口レーダー(SAR)を用いた地理空間画像の提供を行う予定です。この合意は先週締結されたと、専門誌「Intelligence Online」が報じています。

iQPS

交渉は2月下旬に始まり、3月6日に米国がウクライナの情報支援担当官を一時的に退任させたことで加速。その後、米国は支援を再開しましたが、日本との交渉は継続されました。

iQPSは現在、5基のSAR観測衛星を運用しており、2026年末までにもう1基の打ち上げを予定しています。ただし、プログラミングと受信機能をGURのプラットフォームに組み込むため、両国は2〜3ヶ月の準備期間を見込んでいます。

さらに、日本政府はウクライナに対し**10億ドル(約1500億円)**の支援も提供する予定であり、これは米国からの財政支援の喪失を補う形になります。

ウクライナの諜報機関は現在、米国の衛星画像に依存しない体制の構築に取り組んでおり、iQPSの協力によってその未来はより明るくなったと報じられています。

これまでも、フィンランドのIceye社やドイツのSAR-Lupe、SARah、イタリアのCosmo-SkyMedおよびCosmo-SkyMed 2が、ウクライナに対しレーダー画像の提供を約束してきました。

「これらの技術を組み合わせれば、米国家偵察局(NRO)が従来、独自あるいは商業事業者(Capella SpaceやUmbra)を通じて提供していた量を上回る可能性がある」とIntelligence Onlineは報じています。

とはいえ、ウクライナには十分な光学衛星画像の確保という課題が残っています。Airbus GroupのPléiades Neoや、フランスの衛星画像に対する拡張的なアクセス権はあるものの、米国が提供していたような高精度な画像、特にMaxarやBlackSkyなどからの商業画像の代替には至っていません。

現在、欧州にはアメリカ企業と同等の光学衛星画像を提供できる運用会社は存在せず、米国が3月初めに正式に支援を再開した後も、ロシア領土に関するデータの提供には制限を加え続けています。

ウクライナの衛星コンステレーションの構築

最近の報道によると、ウクライナは2026年からパートナー諸国と共に、防衛目的の衛星開発に着手する予定です。

なお、2022年10月には、チェコとウクライナ両政府が、防衛クラスターの設立に関する政治的合意に達しています。この協力関係の一環として、両国にとって必要な衛星の開発プロジェクトが開始されました。

将来的な「コンステレーション(星座)」衛星群の中核となるのが、ウクライナ軍のニーズに特化して開発されている「Drak」衛星です。このプロジェクトには、チェコの宇宙クラスター「Brno Space Cluster」に所属する企業が、ウクライナの専門家と緊密に連携して参加しています。

本プロジェクトの主な統括企業は、チェコのTRL Space社です。

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Posted by kristina