ウクライナでは英語が通じる?そもそもウクライナでは何語?

2021年2月27日

皆さん、こんにちは!最近少しずつですが、ウクライナの情報を発信し、日本の方にウクライナの事をもって知って頂こうと思っています。私はウクライナの出身ですが、もう数年日本に住んでいます。日本人からよく受ける質問が『ウクライナでは何語ですか?』。ウクライナはバイリンガルの国なので、ウクライナ語とロシア語が通じるものの、ウクライナの言語はウクライナ語です。ウクライナ語とロシア語の違いについて別の記事を載せているので、気になる方はこちらへお願いします。

日本人から見るとウクライナ語でもロシア語でも聞きなれない言語なので、よく分かりませんね。なので次によく受ける質問は『英語が通じる』かどうかということですね。今回はそれについて記事を書きます。

ウクライナでは英語が通じる?

speaking

結論から言うと

ウクライナでは英語のレベルが高くないので、あまり期待しない方が良いです。

これで終わらせてしまえば、私のただの客観的な意見になるので、ウクライナ人の英語レベルについての調査を参考にして、深掘りしたいと思います。

『EF Education First』という国際教育会社は試験を行うことで、国ごとに成人の平均の英語能力を計っています。国ごとにEnglish Proficiency Indexという英語能力指数を出して、ランキングを作っています。調査の対象は英語が母国語ではない国です。この数値は代表抽出調査ではなく、自主的に受験した人の調査の結果に基づいています。毎年このような調査が行われているようですが、私は2020年のデータをピックアップしました。調査は100ヶ国で行われていて、220万人のデータに基づいています。そのデータを見るとウクライナは100ヶ国の中から44位になり、ミドルランク程度のカテゴリに入っています。

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出典:EF English Proficiency Index

日本は55位なので、日本と比べるとウクライナの英語レベルは高いですが、ヨーロッパの地域だけに絞ったらウクライナは下から5位になっています。他のヨーロッパの国と比べるとやはり英語のレベルは低いです。

english-proficiency-index

出典:EF English Proficiency Index

また、調査の履歴を見るとウクライナはミドルランク程度からローランク程度に変わったりしています。

english-level-in-ukraine出典:English Proficiency Index

試験を受験している人は英語力に興味を持ち、人口全体と比べると若年層と都心部の者が多いと言われています。つまり英語に興味を持っている若者のレベルはミドルランク程度であれば、興味を持ってない人、または中高年の方は英語のスキルが低いという状況です。

ウクライナで英語のレベルが高くない理由

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私なりにどうしてウクライナでは英語のレベル低いかと考えてみました。

  • 歴史的な要因
  • ネイティブスピーカーとの触れ合いが少ない
  • リスニング・スピーキングよりライティング・リーディングが多い

1個ずつ解説していきます。

歴史的な要因

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ウクライナは1922年から1991年まで共産主義を用いたソビエト連邦に属していました。当時の政府は国民にロシア語の重要性とロシアの文化を広めていたので、基本的には海外に行くのは非常に難しく、英語の勉強は滞ていた時代でした。ソビエト連邦に入ってない国に行きたかったら、特別な審査を通る必要がありました。よっぽどの理由がなければ、一般人は中々海外に行けませんでした。子供は小学校から英語を習っていましたが、目標としてはコミュケーション能力を伸ばすのではなく、読解能力を身に着けさせることでした。つまり、当時の教育の方針は高校を卒業したら辞書を使って英語の資料等が読めるようにしたいということでした。なので、ソ連の教育を受けた人々は英語の発音が分からないし、英語でのコミュケーションを取ることもできないのです。1991年ウクライナは独立しましたが、海外に簡単に行けるようになったわけじゃないです。E Uに行くにせよ、アメリカに行くにせよ、行きたい国の大使館に必要な書類を提出して、ビザーを発行する必要がありました。提出後、大使館は許可を出すか出さないか1週間~2週間待ち、許可が出た場合はパスポートにビザを捺印してもらうという流れでした。

書類を用意することと審査の結果を待つことは人を消耗させますよね?なので、大抵の人はアメリカとE Uに行こうとしなかったと思います。つまり、ウクライナは独立しても外国人との接触がない状況が続いて、英語力が中々伸びませんでした。

しかし2014年にウクライナの大統領として選ばれたペトロ・ポロシェンコはE Uと何回も交渉を行うことで、2017年にウクライナ人はE Uの国にビザなしに行けるようになりました。

1991年以降ウクライナは英語の勉強を含めて教育システムの改善に向けて、見直しを行っているので、徐々に英語の重要性が広まり、英語の授業のクオリティーも良くなっています。その結果として若い人が英語でミドルランク程度で喋れるようになりました。

 ネイティブスピーカーとの触れ合いが少ない

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私は小学校から大学院までウクライナで教育を受けました。
小学校から大学院まで英語を習っていたのですが、英語の先生は全員ウクライナ人でした。小・中・高は一般の学校でしたが、大学では専門を日本語と英語にしました。それにしても英語のネイティブスピーカーの先生がいませんでした。

ネイティブスピーカと話したことがない人はいきなり英語で喋るのはとても恥ずかしいし、怖いです。できればこんな状況を避けたいです。その結果多くのウクライナ人は英語に抵抗ができました。

一方では、子供はまだそんな恐怖がないので、普通に覚えた単語、フレーズ等を使いたくて、外国人に話しかけます。私もよく日本で公園にいる日本人の子供に英語で話しかけられています。幼い頃から外国人と話す自信が付いてくるので、コミュケーション能力は伸びやすくなります。

リスニング・スピーキングよりライティング・リーディングが多い

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ウクライナの学校では英語の勉強において、ライティングとリーディングの練習問題は多くありますが、リスニングとスピーキングは圧倒的に少ないです。日本でも同じ課題があると聞いていました。

私の経験から言うとスピーキングの練習があったとしても教科書に書いていた会話の流れをただ覚えるだけで良かったです。完璧に覚えたら満点です。なので、生徒たちは良い点数を狙い、間違わないように完全に暗記していました。大学ではそのやり方が中々英語のレベルの上達に繋がらないと注意され、生徒はどのテーマでもできるだけ自分の言葉で喋れるように心掛けていました。しかし問題はスピーキングの内容でした。どんな内容が多かったかというと、ある小説を読んで、それについて自分の印象を伝えるとか、アメリカ、イギリス等の有名な観光地について話すとか、また英語で文章や文法の分析等です。例えば、『これは名詞、これは動詞。この文章はPresent Indefinite Time、この文章はPast Present Indefinite Time。この文法はこんな場合に使われています』などです。英語で話すことが大事だと思う方がいるかもしれませんが、授業の時しか使わないテーマだったら、結局役に立たないですね。個人的には日常生活と仕事で使えるようなスピーキングの練習があったら良いなと思います。

まとめ

話をまとめるとウクライナでは国民の言語が英語ではないので、一般的には英語が使われていないのです。ソ連時代に英語の必要性が低かったので、ソ連時代に育てられたほとんどの人は英語で喋られません。年齢から言うと40歳以上の方ですね。1991年ウクライナは独立してから国民は徐々に英語に興味を持ち、滞っていた英語の教育のシステムは見直されたので、10代~30代の若年層の英語のレベルはミドルランク程度まで上達しました。しかし全国では若者が同じ位の英語スキルを有しているとはまだ言えない状況です。どちらかと言えばキエフ等の都会では英語で話せる人が多い傾向にあります。最近では海外留学をしたい、外国で仕事をしたい、または海外に移住したいウクライナ人が増えているので、近い将来に英語に対しての抵抗がなくなるんじゃないかなと思います。

 

 

 

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Posted by kristina